本/葉leaf
 
は、実はつめたい二色魚の群れで、定義しえない半身を経験体にひたしながら、眼球の動きをなめらかにしている。経験体の構造はたおやかに捻転する。きらびやかな感覚素たちの刺すような引力によって、経験体は重い砂として具象化されるのだ。……」

文字たちをつらぬくひとすじの弦は、瞬時に空隙をえぐり、かすかに吸光している。弦は、僕の口元で発火する生まれたてのクラゲたちの影を映している。文字たちの影は重なり合い、ひとつの予言された果実となり、果実は輪をめぐって意味を熟させる。意味はやせた大地を埋めてゆき、複雑に枝分かれした光線が意味たちの核力をつたえている。

文章の相貌は世界を書き換えてゆく。肉体的な感
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