組詩「二宮」/岡部淳太郎
 
。なお、ここで語られているのは、すべて作者の高校時代の思い出である。

「二階の図書室のバルコニー」

作者が通っていた高校は校舎の二階に図書室があり、そこにはバルコニーが付属してあった。バルコニーに出て外を眺めると、真下の玄関から生徒たちが下校していく後ろ姿を見ることが出来た。

「硬い岩となって鎮まっていった」

前述のエリオットの引用「赤い岩」と対応。作者が記憶、または思い出というものを語る隠喩として、岩石または石というものを長年愛用してきたため、ここでも「思い出」を「硬い岩」に変質させている。

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「ふるさとは遠きにありて思うもの」

室生犀星の「小景異情 
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