組詩「二宮」/岡部淳太郎
 
の乾くことのない死相を受け止めよ

やがて岩のかげから這い出して
左右の脚を引き摺りながら
おまえは間違った観念を押しのけるだろう

神の集う社を目指して
一族再会

脚のない男たちが集結する


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おりてゆく
川匂神社の石段を静かに
おりてゆく
絶対は常に二重だ
神でさえも常に二重だ
それゆえに
おりてゆく
川匂神社の石段を静かに
おりてゆく
脚の弱った男よ
おまえはもう苦しまない
不自由なふるさとの
思い出の集積に泣くこともない
時は二重だ
人でさえも
この世界そのものも
常に二重だ
おまえは歩く
川匂神社の石段を静かに

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