組詩「二宮」/岡部淳太郎
よがりの想像の中にのみ
それらは存在する
もう
おまえを迎えに
風の吹く場所からやってくる者など
存在しない
初めから
存在しない
そう
すべて
初めから
存在しない
?
大船
藤沢
辻堂
茅ヶ崎
平塚
大磯
脚のない男たちが集結する
真鶴
根府川
早川
小田原
鴨宮
国府津
脚のない男たちが集結する
彼等の海水に濡れた怨念を受け止めよ
塩の味を嘗めて
それらを喉の中に溜めこんで
彼等のずぶ濡れの思想を受け止めよ
時は正しく
陽はまっすぐだ
ただ何もかもを諦めて
彼等の乾
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