組詩「二宮」/岡部淳太郎
 
つめ、

それらの年月、それだけの軽さで春または夏に食われてきた彼等の心身は、絶対というものを決めつけるのに億劫になって、際限のない今日の中で、目醒めていながら、眠っていた。

これが私の思い出である
これらの思い出はこの赤い岩のかげで
いくつもの朝と夜の末に
硬い岩となって鎮まっていった


?

ふるさとは存在しない
これだけ多くの思い出を経巡っても
そこにふるさとは
一片たりとて存在しない
既に初めから
ふるさとは遠きにありて思うもの ではありえず
ふるさとも思い出も
ほら こんなにも近い

近すぎるのだ

ふるさとの
思い出の
おまえたちの
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