我も行人秋のくれ/藤原 実
 
時代とともに生まれ、育ち、没したようなひとですから、「明治は遠くなりにけり」というのは、上手いなあ、と思います。が、やはり草田男の句にくらべるとだいぶ見劣りしてしまいます。
「降る雪や」の句については草田男の自句自解があって、句が成立するまでの推敲過程まで明かされているのですが、「獺祭忌」の句についてはまったく触れず、無視しています。草田男としては句の出来に相当の自信があったんでしょうね。今日「獺祭忌」の句も作者の志賀芥子もまったく忘れられた存在になっているので、世間も「降る雪や」の句は草田男のオリジナルな名句であると認めたということなんでしょう。


この場合はすぐれた作品の方が残ったわ
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