我も行人秋のくれ/藤原 実
世界の転換によって複雑な情感をかもしている、そのウイットに注目したい。
(尾形仂『座の文学----連衆心と俳諧の成立』<講談社学術文庫>)
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西脇順三郎が『(芭蕉というひとは)とにかく和歌と漢詩の中に生きようとした人である』(「はせをの芸術」。『雑談の夜明け』<講談社学術文庫>より)と書いていた意味が尾形さんの本を読んでぼくにもよくわかったのでした。芭蕉の世界とは、このような「時を隔てた歴史的共同体」と同時代の「座」という連衆心を通わせる「共時的共同体」をからみあわせることによって、じぶんたちの日常を超えた普遍的なココロをうたいあげようとしたものだったと考えられるのです。
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