霧の様な死あるいはナルシシズムについて/立原道造を読む/渡邉建志
 
あ。空から花を撒き散らす少女の天使ですよ、少女の天使。花を撒き散らすんですよ。その掌が「雲のやうにやはらかに」ですよ。めっちゃやわらかい掌なわけですよ。それが空から覗いてるんですよ、しかもそれを見ているのは「おまへ」と「僕」の恋人同士ですよ!しかも凭れあって「うつとり」してるんですよ。ヨン様ワールド!

そして、

ふたりは
やさしい樹木のやうに腕をからませ をののいてゐた

をののいているのです。読んでいるこちらの心も思わずをののいてしまいますよね。そうですよね。


三 窓下楽、について

いいや! あかりは僕のそばにゐた

いいや!とか一人で話
[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(13)