霧の様な死あるいはナルシシズムについて/立原道造を読む/渡邉建志
 
たやうに
小鳥のうたがひびいてゐる 花のいろがにほつてゐる

風に雲に小鳥に花ってもう過剰なほどの立原ワールド。これを温泉で何も考えずぽけーと読んでいると、くらくらとのぼせてしまうこと必至です。



■詩集「優しき歌 一」http://www.aozora.gr.jp/cards/000011/card899.html 薊の花のすきな子に より  
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二 虹の輪

あたたかい香りがみちて 空から
花を播き散らす少女の天使の掌が
雲のやうにやはらかに 覗いてゐた
おまへは僕に凭れかかりうつとりとそれを眺めてゐた

夜が来ても 小鳥がうたひ 朝が来れば

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