パパの思い出/さくらいちご
 
も不機嫌なことが多くてそんな時におねだりをすると叱られた。
来る時とは違うイライラ顔のパパが恨めしかった。


私が中学生だった頃、パパは単身赴任で遠くにいた。
毎日決まって夕方6時頃、パパから電話がかかってくる。
きっとその時間なら会社から堂々と電話ができ、そうやって電話代を浮かせていたのだろう。
私が初潮を迎えた日、電話口のパパが「おめでただって?」と言った。
そんなことをわざわざ言うパパが恨めしかった。


私が高校生だった頃、パパは修学旅行へ出発する私を空港まで送ってくれた。
先生には、飛行機の時間に遅れるといけないので絶対に車で来てはいけないと言われていた。

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