フリーターでもニートでも/うめバア
 
に開店するまで
少し時間があったもんだから
本当は掃除をしなきゃいけないけど
「別にいいから」って言って
ナカガワさんという先輩が
テレビのワイドショーをつけてくれた

煙草の煙がゆっくり揺れる
そういう時間とか
そういう会話とか
久しぶりだった
いや、初めてだったかもしれない

捕獲されたワニの話が
特別重要だったわけじゃない
テレビのある控え室は埃っぽかったけど
私にとっては、大統領のシェルターよりも
安全な場所になった

真冬の店先は
北風がもろビュービュー吹いてる
けれどそこが私には
一番あったかい、「教室」だった

店頭は、私と社会を結ぶ窓
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