優れた戦意高揚文学「アンの娘リラ」モンゴメリー/白糸雅樹
持や、「兵役忌避者」と非難される詩人の大学生(アンの次男)ウォルターの心情「そうだ。僕は戦闘が怖いのだ」も語られる。しかし、そうであるからこそ、物語の進行や登場人物の設定に現れる、愛国心からくる全体主義を見逃してはならない。リラの住む村の変わり者、「月に頬髭」と綽名される男に関してはこう語られる。「「『月に頬髭』はわしはドイツ贔屓ではない、不戦論者だとか言っていますがね、奥さん。ろくなことじゃないでしょうよ。でなければ『頬髭』がなるわけがありませんからね」」「プライア氏は流暢な言葉をほとばしるようにしゃべりたてた。茫然とした聴衆が鼻持ちならぬ反戦論者の訴えに自分たちが耳を傾けているのに気がついてぎ
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