終わりのない唄/umineko
 


高かった太陽も、すでに傾き始めている。「6時間か…。」この小さな国でもまだそれだけかかる。政府のいう「人と物との自由な移送ネットワーク」構想は、いくつかの地方都市にクリーム色のアンカーを建設したにとどまった。用地取得がどだい無理なのだ。結局こうして昔ながらに列車を使っている。だが、まだ都市機能が残っているうちはいい。多くの人がこの国の異変に気付き、混乱して職場を放棄したなら、どうやって君の街までたどりつけばいいのだろう。本当は、一緒にいればいいことくらいわかっているのだけれど、そうもいかない。君には君の、僕には僕の生活がある。愛することと、生活とは違う。それは僕と君との、結論。


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