雑感&書評『テクスチュアル・ハラスメント』/佐々宝砂
ら泣けてきた。だって私は女のモノカキだからな、ひどい抑圧はまだ経験していないけれども、思い当たることはいくつもある。しかし、真に問題にされるべき抑圧は、上に列挙したようなことばかりじゃない、いちばんひどい問題はね、女性のモノカキが、お手本にするべき女性作家になかなか巡り会えない、女性作家の系譜を知り得ない、ということなのだ。
女性にとって必要な文学は、必ずしも図書館や書店の棚に揃っていない。たとえば、『ジェーン・エア』以外のシャーロット・ブロンテの作品を、いったい誰が知っているだろう? 私はもちろん『ジェーン・エア』を読んだ。私は、文学史の本を読んで、シャーロットの『シャーリー』『ヴィレ
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