夕暮れの芯/霜天
 
ふと、迷うということをしてみて
揃わない手のひらで地図をなぞる
帰る時間になりました、と言われるけれど
本当はどこへ帰りたいのだろう

誰か
夕暮れに誰か
流れていく群れを、逆に擦り抜けながら
その目、目は何処へ、何処を
向いているのか、教えて
何処へ行きますか、この街は

空がますます低くなって
私は少しだけ息を止める
ひとつ、ふたつ、みっつと
折り曲げる指の中で
世界は少しずつ途切れていく
もうこんなにも遠くなったのですね
夕暮れの真ん中で誰かが歌う歌
帰らなければいけないけれど
もうこんなに遠くへ来てしまったのですね


夕暮れの赤が
一番赤に
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