夕暮れの芯/霜天
赤に近づく頃
小さな公園で歌う人がいた
錆びたブランコの色は誰も覚えていなかったし
滑り台はもう、滑ろうにも滑れなかった
どんな歌かは覚えていない
公園の名前も誰も知らない
あの場所が夕暮れの真ん中と
今も勝手に、そう決めている
誰が教えてくれるだろう
誰も知ってはいないだろう
息を止めて、また吐き出す
私が少し休んでも、きっとこの街はずれていく
息を止めて、また吐き出す
帰りましょう、帰りましょう
思い描いたその場所は
きっともう、誰も知らない
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