どこにでもある話 2/いとう
だけだと彼は言う
彼女は当然ベル番号を知らされて
彼からの返答を待つだけの毎日
けなげなことに
ベルを打ってからすぐ会えるように
いつも化粧をして待っていたらしい
彼は気が向いたら連絡を入れ
本当にどうでもよかったのか彼には珍しく
「デートするだけで何もしてくれなかったの」と
あまり何も考えない彼女は嬉しそうに話す
つらくなかったのと尋ねると
「会えるだけでよかったから」と笑い
自分に酔ってたんじゃないのと笑い返すと
あまり何も考えない彼女はちょっとだけ考えて
「そうかもしれない」と
嘘をついた
彼が彼女に話しかけてから半年後
彼女は思い余って
というより
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