「灯台のある岬をめぐる」駅にて(マリーノ超特急)/角田寿星
 

替要員として、海洋特急に乗って来たアサギの、太い毛むくじ
ゃらの腕にしがみついていた、オムツのとれない幼児だった。
セントラル駅に補給の無電をうつ、アサギの野太い声を思い出
す。

「セーフフード3人分、サハリン産のラム酒ひと樽、それと…オムツ!!」

大陸に続く森の散策はあまりに危険で、灯台まわりの小さな平
地と「灯台のある岬をめぐる」駅、それがソルの世界のすべて
だ。母親は、マリーノ超特急に乗ったまま南下していったとき
く。水のカーテンに濡れて、木の根っこをかじりながら、ソル
は岬に腰かけて、ソルはプラットホームだけの駅に下りたって、
よく南をながめている。ソルは馬
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