「灯台のある岬をめぐる」駅にて(マリーノ超特急)/角田寿星
 
。馬たちは思い出したように駈け足を繰りかえし、みじか
い生え草をたべる。馬たちは茸もたべる。馬も夢を見たいのだ
ろう。

灯台の重たい扉をたたく音。深夜に、遠慮がちに。マリーノ超
特急の旅人たちだ。水のカーテンをくぐり抜けてきた旅人たち
は、犬のように全身ぬれて、地面の感触をいちいち確かめて、
当直の、陽気なアサギとかたい握手をする。

水のカーテンは重たくかかって、湿った薄暗い朝だ。ぼくと、
アサギの息子ソルは、隣でひどいイビキをかいているアサギに
そっと毛布をかけて、夢のなかで出会った旅人たちと再会する。

ソルとはじめて会ったのは、もう8年前になる。灯台守りの交

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