花とスピード/RT
 
な香を放つ臆病な花


   *


夾竹桃は花ごと落ちる
そういう方法もあることを知る

毒を持つゆえ毒には強い
夾竹桃の生き方に憧れもするし
寂しいとも思う


   *


あのひとが目の前を通りかかる
私の気配に足を止め
あたりを見まわす

風を匂う
シャツについた花粉に
首を傾げる

しばらくそうしていて
あきらめて空を仰ぐ
私もつられて視線を追うと
アカシアが咲いていた


   *


小学校までの登校道の坂道に
アカシアはいつも吹き溜まっていた気がする
私にとって、それがアカシアだった
足元しか見ていなかった
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