ウォーターメロン・ダイアリーズ/nm6
 
あれはいつのことだったか、間違いなく浮いていて、空。に、月の代わりに。ぼくらの夜はつややかな緑に照らされ、建物には鮮やかな縞模様の影ができる。アスファルトから植物が生えているようだった。自分がやさしくなったみたいだった。それはいつもの、ひとりぽつり、の、ぼくらの夜だった。


新宿では誰もがネオンの街をすり抜ける。抱えるものもあれば、抱えられるものもある。ぶつかった肩に「すみません」とか言って、都会。って、言って、ふと立ち止まる。ビルの窓に反射して見える緑の縞。ああ、月ってあんな感じだったかな。都会、って、もう一度ぽつり、の、ぼくらは忘れた。




夏になれば、
ぼくらの夜だ
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