ウォーターメロン・ダイアリーズ/nm6
夜だった。
ぼくらは忘れた。
*
いつも、満ちては欠けた。ああ、と呟いていた。青空はやってこないまま、通り過ぎて赤く染まる夕方の空。仰いでいたし、仰がれていた。真下にいることには気がついていた。明日は晴れ。信じ込んではエスケープ、する常の。そしていつしか点々とばら撒かれる黒ぽつり、の、いつしか満天と、
*
あれはいつのことだったか、間違いなく浮いていて、空。に、月はムーン。ぼくらの夜はやわらかく黄金色に照らされ、建物には鮮やかな灯がともる。アスファルトからミルクが溢れているようだった。自分がやさしくなったみたいだった。それはムーン。いつもの、ぼくらの忘れた夜だった。
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