Saudade./芳賀梨花子
 
っていたら
木菟がしかめっ面をして
猛禽類の失墜しつつある誇りを
切々とわたしに語りかけてきた
なんとも都合がよいので
わたしは木菟の話に耳を傾ける
ちょうど、その話が佳境に差し掛かったところで
ふと、わたしはいったい何のために
こいつの愚痴を聞いているのだろう
何か忘れてしまっているのではないか
と思いはじめていた
すると、それを察したかのように木菟は言った
できることなら伝えてほしい、と
ああ、これで、わたしは、再び声を手にすることができる
必死に声を上げるわたし、安堵し、胸を大きく開き声を上げる
この声は風がさらって森を越えていくのだろう
そして木菟も笑顔で飛
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