Saudade./芳賀梨花子
その大地は肥沃なので
芽吹くことをやめないだろうと
「大地の神が女神であるということを
忘れていたのかもしれない」
どんな言葉からはじまって
どんな言葉で終わったのかなんて
わたしには何も関係が無いことだと
そんなふうに思いはじめている
少女だったころの自分と
少女でいようとする自分の
身のほどを知ったということだろうか
それとも神が現実主義だったからだろうか
わたしは罪人になってしまった
風にまたがり旅を続け
身を隠す場所を探す
なにもない
どこにもなにもない
だが、なにもなくともよいのだ
罪人にはちょうどいい
追われる前に消えゆこう
ここ
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