よらよら綴り 声の鳴りかた/エズミ
 
の輪郭線の多重した手ぶれのひどい写真みたいだ。

絵を描いたり木を削ったりの好きな作業をしているとき、頭の中はにわかにおしゃべりになる。
雑然と詰めこまれた単語のガラクタが崩れてあたりいちめんばら撒かれることもあれば、三文芝居のせりふのように聞こえる、底の浅い決まり文句のような会話のかたちが、メリーゴーラウンドになっていることもある。
それはちっとも邪魔ではない。他愛ない軽い喧騒だ。郊外の小さく繁華している界隈をぶらぶら歩くのに、似ている。
何かの拍子に、記憶のスナップ写真を忘れた頃にぱらぱらと見返して反芻する、ようなこともある。
いっぽう、両手といえば人を乗せた電車のように終着駅まで
[次のページ]
戻る   Point(1)