「天使喰らい」の可能性について/がらんどう
てまた「黄金のリンゴ」の木が生えている「ヘスペリスの園」が「エデンの園」と重ね合わされたということもあるであろう(更に言うと、ギリシア語で「多くの羊(μη〜λα)」という単語は同時に「林檎」という意味を持っている。これはまたボッスの絵すら想起させるだろう)。そこには古典主義的におけるギリシアの理想のキリスト教美術への取り込みが反映されているのである。
このような異教イメージの取り込みは、先程長崎県平戸市の極楽寺で発見された隠れキリシタンの遺物である「イエス半伽思惟像」にも見られる。ここでは弥勒信仰とメシア思想の融合が本地垂迹的アプローチのもとで達成されており、人間イエスという形での弥勒菩薩の
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