書評:  『ファザー・ファッカー』/内田春菊/mana
 
に文学・文章が向いていないということではない。「確かにマンガだ。けれど、それは雑誌に連載され、やがて捨て去られるものではなく、文学とまた同じように『単行本』という『作品』である」。『単行本』として勝負したい、発表したいと願う内田の描くマンガは、作品と言わせるだけのものを充分に持っている。


 それでは、彼女のマンガという作品を僕は何冊読んだのか?というと、僕が読んだものはほんの数作に過ぎない。『ファンダメンタル』はなかなかいい。『目を閉じて抱いて』も確かに魅力的だ。『24,000回の肘鉄』は腐るほど読んだ。彼女のマンガでは僕が一番多く読みまくった作品でもある。


 「なかったこと
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