書評: 『ファザー・ファッカー』/内田春菊/mana
ことに出来るなら、いったいどれだけラクなんだろう?」。そう願ってる。切実に、懸命にそれを祈っている。それでもやはり「なかったこと」には出来ない。そして、出来ないからこそ墓標を建てることでなんとか埋葬した。『ファザー・ファッカー』は内田にとって、「いつかのじぶん」へのレクイエムなのかも知れない。
もう、墓標を建てるくらいしかない。それでもなかったことには出来ないし、完全に「ラクに」なることもない。それをあえて対峙し、そしてなんとか埋葬した内田が、『ファザー・ファッカー』を発表する前に描いた『南くんの恋人』。
僕はこの『南くんの恋人』を描いた内田が一番スゲェ!と思う。
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