書評: 『ファザー・ファッカー』/内田春菊/mana
どっちもいいしすごいんだけど、僕はあんまり好きじゃない。
言いたいことがいっぱいある。「聞いてくれ! わかってくれ!」、そう訴えたくなってしまう気持ちというのも、なんとなくではあるけれどわかる。抱えているにはデカくて重く、せめて「コトバ」として吐き出してしまいたい。それが意図的・意識的であったかどうかはわからない。けれど、「吐いてしまいたい」と願う気持ちは、どこかにあったんじゃないかと思う。そして、おそらく内田はこの「埋葬してしまいたくても、うまく埋葬することが出来ずにいる【じぶん】」に気づいていたのではないだろうか? 僕にはこの『ファザー・ファッカー』という作品が、内田が建てた「か
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