空の仔/AKiHiCo
海辺で佇む僕の背後から声
透き通るような澄んだトーンの
潮風に乗って耳に流れ込んできた
何がそんなに悲しいの?
そんな瞳で僕に囁かないで
そうだ僕は空になり
キミは海になるだけの未来
染まってゆく体の色を見つめて
悲しみを詰め込んだ青い指先
キミの瞳は瞬きをすれば深い藍へと変化して
そこに僕が逆さまに映る
何も言ってはいけないのだと
南風が髪を優しく温く撫でる
空が沁み込んでくる
拒む事など出来ないままで
キミを見ながらそこに自分を見た
キミの根元から緑に染まりゆく髪が揺れる
どうして微笑んでいられるのだろう
これからキミは海へと還ると言うのに
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