法学/葉leaf
文書を読みあげる。執行官の言葉は遠い光輪の上でよじれてゆく。
第三章 債務不履行
人々のやさしい足に踏みしだかれて、僕の体は毛虫のように波打つ。僕の債務は僕が生まれたときから額に貼りついていてはがれない。債務からのびる菌糸状の債務不履行は僕の脳を侵していて、僕にあかがね色の幻覚を見せる。あるときは書きかけの手紙が太陽から降ってきて、杖をついた老婆に姿を変えた。(債務不履行は切り抜かれた紙やすり。)またあるときは恋人が自殺し、いくら走ってもなきがらへたどり着けなかった。(あらゆる命の手綱をにぎり、ダイアモンドの光を目指す。)
海溝の底に起立する太古の図書館の閲覧室に灯がともる。僕の
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