法学/葉leaf
形する。呼吸する靴の表面にはいくつもの小さな箱があって、それらを君はひとつずつ開けてゆくのだ。
ある種の権利は分子の衝突によって生まれ、影として反権利を残してゆく。反権利はさびた鉄のにおいがする。反権利で満たされた君の手は、宙に浮く雪山を彫刻する。空からは君を呼ぶ声がして、君は手にした溶岩を投げつける。
第二章 失踪宣告
錫でできた小文字を集めて塔を作ろうとする執行官は、突起状の闇に狂う。いくつもの晶石を砕いてきた彼のもとからは、言葉が失踪する。彼の記憶のはずれにて、鳥たちが騒ぐ。
彼の言葉のない夢のなかで、塔は完成した。それは海に浮かぶ街の中心で、人々の視線をはね返していた
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