無題/菅原 夕輝
心が千切れてもまた昇る
途方に暮れている間にも何処かで生き物は朽ち果て また産まれ堕ちていく
委ねてしまうよりは逆らった方がいい
影を踏んで 陽の当たらない場所に孤独を欲しがった
何度となく 足は縺れ
肺に巣食う寄生虫は 勢いを増して広がり 徐々に呼吸を妨げていく
纏(まと)わり付く体裁は希望と名づけた明日を恨み
内に潜む泥塑人(でいそじん)は軽々しく差し出されるその手を恨む
変わっていくのは上辺だけで 核心は何も変わってなんかいないんだ
例えば僕がナイフを握ったら
世間は蔑んで見下すのだろう
それが自身に向けたものでも 他者に向けたものでも
世間はすぐに異
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