無題/菅原 夕輝
残る残像は美しい
美しいからこそ
近付いてきた悲しみは大きかった
知らない振りをしていただけ と
非力な口元に 何度も言い聞かせては 呑み込んだ
ニュースはまた同じ様な事件を報じ繰り返す
少年犯罪
加害者の心
家庭環境
被害者の遺族
安全対策
知ったような口を言って 誰も分かっちゃいない
毛頭 理解しようとさえしていない
見ていたのは真実じゃなくて
精密に作られた幻想みたいだ
時間が解決するなんて 嘘だろう
何もかも酷くなっていくばかり
歯車はいつまでも噛み合わなくて
行き場の無いやるせなさは溜まっていった
太陽が燃え滾(たぎ)り始めた頃から
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