書評: 『世界で一番美しい病気』/中島らも/mana
全に舐めていた。というか、興味さえなかった。縁がなかったのだろう。この作品以前にも、ちらりと中島らも氏の著作を読んだことがある。正直、あまり面白くなかった。なんか病院周りして睡眠薬を貯め分配する、みたいな話。けれどこの『世界で一番美しい病気』は違った。
『微笑と唇のように結ばれて』
『世界で一番美しい病気』の中の一編である。それは本当に美しい説話だった。哀しいくらいに美しい。20ページ弱のこの短編一作に1,000円払ったのだとしても、僕はなんの後悔もない。 久し振りに本当に美しいと感じた。
「殺さないかわりに傷つけるなら、傷つけないで殺してくれ」
美し
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)