新訳『星の王子さま』レビュー〜倉橋由美子さんの遺作/角田寿星
 
きを読んで、その思いは確信に変りました。倉橋さんはこの
物語を、「大人が自分の中にいる子供の正体を診断する」ものとして位
置付けている、ってんですね。
昨今、流行りの自己啓発、ってヤツっすか。

それ言うんならさ、テグジュペリさんはフランス空軍の飛行機乗りだっ
たんだから、バオバブが日独伊のファシストを指すとか、社会と人間の
愚かさや、大人の心の有り様などを詰め込んだキョーレツな一冊だ、
っていう、ぼくが以前読んだ論評のほうがよっぽど腑に落ちるんだよね。

ここからが重要なところで、ぼくがこの論評を読んだ感想は、「詳細な
分析、ご苦労さん」でした。倉橋さんや論評の指摘する
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