『ROCKS』/mana
 

「こんな町じゃ駄目だよ。全然駄目だね。もう、全部が半端だもん。やっぱりさ、【あたらしいもの】なんてのは、あのぐちゃぐちゃした、圧倒的な息苦しさみたいなもの、やたらと人口密度が高くて、何かが渦巻いてるような、そんなところからしか出て来ないんだよ。僕は渋谷見て思ったよ。秋葉原でも思った。あの、わけのわからない窮屈さ、なんだかわからないけれど、やたらに群れてて、でもエネルギーが凝縮されてそうなところ、そんなところからしかもう、【あたらしいもの】なんてのは出てきやしないよ。」


 くるりの岸田クンの廉価版みたいな容姿で、ケーキやらお菓子やらを作るのが好きだった。それなりの大手に勤務する父親と、
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