『ROCKS』/mana
それなりに僕は生きてきた。けれどふと、それなりに便利でそれなりに過ごしやすい僕の町が、便所がかろうじて簡易水洗になっているような、かろうじての町よりも、うんと不自由に見えたりもする。
無駄な問いだ。答えなんてあるわけがない。
野外レクレーションなんてものまで、すでにサービス化してしまっている。そこにはもう、僕が背中から落下した時の木を登るスリルみたいなものはない。スタッフは楽しそうだった。けれど、「休日にはいつも町に行く」と言っていた。僕の住んでいる、それなりの町に。やはりないものねだりなのか。
あるものが見えない。ないものばかりが見える。
「
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