ウォーリーをさがして/ヤギ
 
 10年くらい前「ウォーリーをさがせ!」(マーティン ハンドフォード著 フレーベル館)という絵本が流行った。ストーリーはなく、見開きいっぱいに描かれたたくさんの人の中から、縞々シャツのウォーリーを探して遊ぶのだ。誰かを探すわけじゃなくても、たくさんの人が描かれた絵というのは子供向けの雑誌なんかでよく見られた。僕はそういう絵が好きだった。一人一人に感情移入して、その人たちが何をやっているのか想像するのが楽しかった。

 もう少し大きくなって、僕は電車やバスから街を眺めるのが好きになった。人が見えても楽しいけれど、家の中にどんな人がいて何をやってるのか想像するのは面白い。さらに経って、遠くに見える
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