受刑/AKiHiCo
 
 殺風景な通路のソファに座って小説を読んでいた。見渡す限り廊下で窓からの光が心地よい。他に誰も見当たらない。 
 そこへ、黒く細長い布を持った天使が僕の前で立ち止まった。僕を舐めるようにまじまじと見つめる。というより睨み付けた表情で僕を凝視した。ふと左右を見ると黒服のレース使いが綺麗だが、どことなくシックなイメージのワンピィスを着た女性が二人気配もなしに立っている。ただ事ではないと僕は口を開こうとした。質問を目の前の天使にしたかった。「キミは会議の結果、処刑が決定した」
 そう機械的な口調で黒服の天使は言った。処刑。頭が真っ白になってゆく。何か罪を犯しただろうか。そんな記憶はない。なら、なぜ僕
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