俵松シゲジロウの倦怠/みつべえ
ない。トモコはどうでもいいようなことを聞いた。
「なんも。俺は身も心も温かい男だからね。ほら、この通り!」
コータはいきなり自分の手の平を幼なじみの頬にあてた。トモコは「キャッ」と小さく叫んでコータの手を払った。
「アハハハハ、最近お前さあ、しょぼくれてるぞ。昔みたいにバカ笑いのひとつもしてみろよ。俺はそんなトモコの方が好きだな」
コータは笑いながら人波を掻き分けて行ってしまった。
「あっ・・・」
何かおちょくられた気分だ。トモコはべえと舌を出した。
う〜、なんて無神経なやつ。ナリばかり大きくなって、頭ん中はガキンチョのままだわ。う〜、どうしてくれよう。不幸の手紙を百枚送り付
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