俵松シゲジロウの倦怠/みつべえ
署の全車両が続いた。事件に気付いた近所の人々が家から飛び出して来て騒然となった。
「こんちくしょう! 死んでしまうじゃないか! 誰か何とかしてくれ! バカ野郎!」
半狂乱で喚く老人に大勢の警察官と消防士が群がって行く。
俵松酒店前の車道は、パトカーと救急車と消防車と弥次馬でいっぱい。町の中を通ってチパシリ方面に抜けようとしていたクルマは次から次へ立ち往生。オホツク漁港から海産物を満載して来たトラックも何台か同様の目にあった。
たちまち渋滞の列ができた。
ちょうど登校時の学生を乗せてきた町営バスもそれ以上進めず、ドアを開いて乗客をみんな降ろした。降ろされた中高生たちはクルマの列に沿
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