書評: 『リバーズ・エッジ』/岡崎京子/mana
 
!」って内心思った。

それはただの「モノ」だった。生きても死んでもいない、それが気持ち悪かった。僕は冷静で冷酷だった。動揺する余地はない。あるのは「モノ」だ。事務的に親戚の家の電話番号を教師に告げた。親戚が来て脳外科へ搬送したが、路面で救急車が跳ねるたびに瞼がパカパカしてた。それだけが怖かった。

脳外科へ移して3日後、それは正式に「死んだ」。やっと終った。生きても死んでもいない3日間、面会してたのは僕と叔母と祖母だけだった。その時の祖母の顔を僕は憶えていない。

祖母もまたくも膜下で倒れ、まるで娘と同じよに、一度死んで、生きても死んでもいない時を経て、そしてきちんと死んでいっ
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