トカゲと私/スプートニク
 
股を這いおなかの辺りにとぐろを巻いて染みこんできた
あまりの哀しみに口がきけなくなってしまった私に
「これを飲めば君の欲は全て消えてしまうよ」とトカゲがやさしく話す

怖がらなくていい
欲が無くなれば失う悲しさも無くなるんだ
諦める辛さも無い その前に求めなくなるんだから
理不尽さに腹を立てる事も無い ここはそういう場所なんだと思える様になるよ

「まだ覚悟が決まらないの」と私は目だけで伝える
トカゲは少し考える風をして
「じゃぁ」とひいやり冷たい足を私の胸にペタペタ貼り付けてのぼり
首筋をやさしくひとなめして赤い粒二粒と 金色の粒一粒を自分の口に入れた
「一緒に」とくぐ
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