散文詩に梱包されて/岡部淳太郎
ことは否めない。前記三篇は、それぞれに違った方向性を持っている。瀧口作品はもっともフランス詩の影響が濃く、当時のモダニズムの雰囲気を濃厚に感じさせる。春山作品は映像的、描写的である。萩原作品はこの中で最も詩らしくない外見を持っていて、一種の掌編小説か身辺雑記のようにも見える。
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戦争の激化と敗戦を間に挟んで、やがて戦後詩が出現した。戦後詩の代表的な詩人のひとりである田村隆一は、第一詩集『四千の日と夜』の中に多くの散文詩を収めているが、それらは戦前の散文詩に比べて驚くほどの急激な進化を見せている。
{引用= 繃帯をして雨は曲っていった 不眠の都会をめぐって
その秋 僕は
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