散文詩に梱包されて/岡部淳太郎
 
、既に十九世紀の時点で散文詩の優れた達成が散見される。ベルトラン『夜のガスパール』、ボードレール『パリの憂鬱』、ランボー『地獄の季節』、ロートレアモン『マルドロールの歌』などが、十九世紀半ばに次々と生み落とされている。日本国内で散文詩を書き始めた詩人たちの中に、こうしたフランス詩の影響があったであろうことは想像に難くない。更に二十世紀の前半には、ダダやシュールリアリズムの運動がフランスで起こり、同時代に生きていた日本の詩人たちはそれらの運動をダイレクトに感受したのではないだろうか。
 かくしてここに、散文詩というジャンルが出現した。だが、ジャンルはまだ生まれたばかりで、多少荒削りの印象があること
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