散文詩に梱包されて/岡部淳太郎
〇年代まで、日本の散文詩の歩みを、僕なりの感じ方で駆け足で追ってみた。八〇年代から九〇年代、そして二十一世紀の現在に至るまで、散文詩は書かれつづけている。その豊穣な達成は、甘く、また苦い。
散文詩は、一見して四角の形の中に文字がぎっしりつまっていて、まるで箱のようにも見える。その箱の中に、文字をつめて梱包する詩人たち。そして、散文詩という箱に魅惑されて、逆に梱包される読者たち。散文詩の進化の軌跡を追うことは、もしかしたら、散文的な日常のなかで詩を求める者が、静かに牙を研ぐことに似ているのかもしれない。あなたの元に届けられた文字のつまった箱を、静かに開けてみるが良い。そこには鋭い牙を持つ言葉たち
[次のページ]
戻る 編 削 Point(18)