散文詩に梱包されて/岡部淳太郎
はげしく降りそそぐ中を――そのなま臭いふぶきは少しずつ赤みを加えながらついに全く視界をさえぎるが このとき 初めから閉ざされることのなかった《眼》はにわかに街々をはてしなく深い河の中へひきしぼる。さあどうださむい地平線を飛ぶ男の骨のうごめく透明さを見ろよ。
(天沢退二郎「反細胞(パレード)」全行)}
前者は入沢康夫の『季節についての試論』(一九六五)の表題詩。後者は天沢退二郎の『夜中から朝まで』(一九六三)に収められたものである。ここでの言葉とイメージの込み入り方は、生半可な読者を遠ざけてしまうほどに複雑で(六〇年代詩のあたりから、「現代詩は難解だ」というふうに言われ始めたように思わ
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