散文詩に梱包されて/岡部淳太郎
繁ることのないようにと しきりに祈る彼らであってみれば彼らは 当然 世界の屍臭を むしろ身にまとうに足る芳香であるとことさらに誤認し見せかけだけの儀式の力で この卑劣な狂躁を永遠のもの 地表を蔽ううまごやしとおなじく 四季による消長はありながらもついに不滅な 一つのいとなみとしようと欲するが この作られた愚かさ この水平な堕落は 単なる偶然の所産 あるいは 監視者の怠慢としてかたづけることはできない(以下略)
(入沢康夫「季節についての試論」より)
厚ぼったい街を白い星たちがすべり空が軟弱な目を吊し終ると 男はふりむきざま体ぜんたいを風にふるわせみるみる重くなる。足のあたりの密度
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