散文詩に梱包されて/岡部淳太郎
まだ及び腰だった詩人たちも、次から次へと競うように散文詩を手がけていった。詩の夏。散文詩の夏の季節の到来である。
{引用=季節に関する一連の死の理論は 世界への帰還の許容であり 青い猪や白い龍に殺された数知れぬ青年が 先細りの塔の向うの広い岩棚の上にそれぞれの座をかまえてひそかに ずんぐりした油壺や泥人形 またとりどりの花を並べ 陽に干していると虚しく信ずることも それなればこそ 今や全く自由であろう 支配者の遺体を模して束ねられた藻や藁を焚き こうすることで 古い春と その記憶を追い立て 生命と受難の観念を あえて声高に語ることによって いつそう深く地中に埋め 窒息させ 二度と生え繁る
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